百日咳が流行しています。百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる感染症で、最初は風邪のような症状から始まります。次第に激しい咳が続き、治るまでに約3ヶ月かかります。特に小さな子供が感染すると重症化します。予防接種で防ぐことができる病気ですが、ワクチンを接種していてもかかることもあり、また、ワクチンの効果が切れてしまった大人にも感染します。
☆百日咳とはどんな病気でしょうか
咳が治まるまで、約100日間と長い時間がかかることから、百日咳と呼ばれています。
感染経路は、感染している人の咳などのしぶきから感染する「飛沫感染」と、感染している人の咳などで汚染されたものに触れて感染する「接触感染」です。多くは乳幼児で、1歳以下の乳児が感染すると、肺炎や脳症を合併するなど、命にかかわることもあります。感染力はかなり強いものの、予防接種で感染を防ぐことができます。ただ、予防接種は子供の頃に行うため、大人になると効果が弱まります。
☆百日咳の症状
感染後、5~10日の潜伏期間を経て、症状が変化していきます。初期には、軽い咳や鼻水、くしゃみなどが現れます。症状が進むにつれて、咳がひどくなっていき、さらに感染力が強くなっていきます。咳が強くなると特徴的な咳が出ます。コンコンと激しい咳(スタッカート)が続いた後、ヒューっと息を吸い込む音(フーピング)を繰り返します。咳はとても激しいので、息ができずに顔が真っ赤になることがあり、咳き込みが続くと吐いてしまうこともあります。乳児の場合、突然息が止まってしまうこともあるので、保護者の方は咳や呼吸状態などに注意してよく観察しておいてください。症状の回復とともに咳が治まってきます。子供の場合、咳が治まったからといって、すぐに登校はできません。登校には、医師の診断が必要です。
☆予防接種
予防接種を受けると、百日咳にかかるリスクを80~85%程度減らせます。接種は、現在、0歳児のうちに、百日咳、破傷風、ジフテリア、ポリオの4つの病気を防ぐ四種混合ワクチンを接種し、1歳で追加接種を行います。定期接種は上記のスケジュールとなりますが、5~7歳の時と、11~12歳の時の2回、三種混合ワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア)を接種しておくと、予防効果が高まります。2024年4月からは、4種混合ワクチンにHib(ヒブ)ワクチンを加えた5種混合ワクチンの定期接種が開始されました。
☆百日咳の治療
熱は薬で治まりますが、咳は落ち着くまで時間がかかります。百日咳の治療には、マクロライド系の抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)を使用することが有効です。咳が強くなる前に使用すると症状が抑えられますので、早期に上記の抗生物質を使用すればその後の菌の拡散防止になります。
☆最後に
大人は感染しても、軽症で済むこともありますが、子供が感染すれば、重症化するリスクが高い病気です。咳の原因が百日咳だった場合、放っておくと周囲に感染が拡大します。咳が激しくなり、長引いている時は、呼吸器科や小児科を受診して咳の原因を調べましょう。