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借家人の賃料滞納

借家人が6カ月分の賃料を滞納しております。賃貸借契約を解除し、完全に出て行ってもらおうと考えているのですが、具体的にどのようにすればよいのかご教示ください。

賃料滞納は借家人の債務不履行であり︑解除原因のひとつです。貸主は︑借家人に対し︑相当の期間を定めて︑同期間内に滞納賃料を支払うことを求め︑支払いがなければ賃貸借契約を解除することになります(民法541条)。また︑賃料滞納期間が長期間に及ぶ場合や︑その他の事情により︑賃貸借当事者間の信頼関係が破壊されている場合には︑無催告解除が認められます。信頼関係破壊の有無は︑賃料滞納状況、賃貸借期間︑借家人の態度等︑様々な事情を総合考慮して個別具体的に検討されますが︑6カ月間に及ぶ賃料滞納は信頼関係の破壊が認められる可能性は高いと判断できるレベルです。
貸主が催告解除︑無催告解除いずれを行なう場合も︑証拠として残せるように内容証明郵便による通知をお勧めします。また借家人の留守や受取拒否等で内容証明郵便が送達されない場合に備え︑同時に普通郵便でも同文の解除通知を発送しておくのも一方法です。
解除通知を受け︑借家人が転居の意向を示した場合には︑転居時期︑原状回復に関する事項︑滞納賃料の支払方法等を協議し︑合意書を交わして借家人の転居を促します。
解除通知にも関わらず︑あるいは合意書にも関わらず︑借家人が転居も滞納賃料支払いもしない場合には︑建物明渡と明渡完了までの滞納賃料等の支払いを求める訴訟を提起せざるを得ません。さらに︑借家人に明け渡しを命じる判決が出ても︑これに応じない場合には︑判決に基づく強制執行を行なうことになります。
訴訟提起から強制執行完了まで︑最短でも3カ月程度を要します。借家人が解除の有効性を争う等する場合には︑判決で貸主の主張が認められたとしても半年から1年程度要する場合もあります。また︑訴訟手続や強制執行手続には︑弁護士費用や建物内の動産類を搬出する費用がかかります(事案によって︑要する費用は異なります)。
このように︑訴訟や強制執行は時間も費用もかかります。貸主としては避けたい手続です。しかし︑このような手続を経ることなく︑借家人の同意なく借家の鍵を変えたり︑借家人の荷物を搬出したりするのは違法であり(自力救済の禁止)︑借家人側から損害賠償請求をされたり︑場合によっては刑事事件となることもありますので注意が必要です。
面倒なようでも︑こまめな家賃管理、こまめな物件管理による借家人の状況把握が︑訴訟回避への近道なのかも知れません。

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