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知っておいて欲しい、抗インフルエンザウイルス薬の服用

国立感染症研究所の発表による、平成25年2月4日~2月10日のインフルエンザ患者の発生数は、前週に比して減少傾向にあるようです。しかしながら、依然として流行の警報、注意報レベルが47都道府県にのぼっています。今年の流行は、A/H1N1亜型とA/H3N2亜型というA香港型、とB型です。A/H1N1亜型は、平成21年に「新型インフルエンザ」と呼ばれ世界的に大流行したウイルスですが、今は一般的な季節的なインフルエンザウィルスとして扱われるとはいえ、依然強い感染力をもっています。  インフルエンザと診断されると、現在、ほとんどの医療機関で『リレンザ』、『タミフル』、『ラピアクタ』、『イナビル』という4種類の薬のいずれかを処方されます。これらは、抗インフルエンザウイルス薬と呼ばれています。インフルエンザウイルスは、人の細胞に取り付き、自らを増殖させ、発熱や頭痛、せき、関節の痛みなどの症状を発症させます。抗インフルエンザウイルス薬は、ウイルスが細胞に取り付きにくくしたり、プロセスのどこかを抑制し増殖を抑えようとするものです。更に、インフルエンザウイルスは増殖を繰り返す中で変異し、薬に対する耐性をもつようになる厄介な性質をもっています。長い期間、同じ薬を使い続けると、薬が効かなくなるというわけです。また、薬の副作用についても様々な症状がありますので、抗インフルエンザウイルス薬を処方する場合には、細心の注意を払って投与する必要があります。

 『タミフル』による異常行動が報告された当時、インフルエンザウイルス感染症に抗ウイルス剤を投与するか否か?という議論がなされました。外国では現在もなお抗インフルエンザウイルス薬を投与せず、stay at home、が主流ですが、本邦では抗インフルエンザウイルス薬の48時間以内投与が推奨されております。  こうした特質のある抗インフルエンザウイルス薬を、医師がどのように使い分けているか、患者さんやご家族の方は何に注意すべきかを、あらためて知っておいて下さい。

☆各薬剤の用法・用量は、表1の通りです。
 この用量は成人患者に対するものであり、小児患者への投与に関しては適宜減量となります。
 また、各抗インフルエンザウイルス薬の、小児等に対する安全性については、表2の諸点に留意する必要があります。

☆医師によるインフルエンザ患者への一般的な
 治療上の留意点
 『タミフル』や『リレンザ』あるいは『イナビル』を投薬します。
 『イナビル』は1回で治療が完結するので、医療機関で服用することにより確実に投与されたことが確認できます。但し、吸入剤であるので患者が吸入可能であることが必要、とされています。
 経口や吸入が困難な場合や、その他の事情により静注治療が適当であると医師が判断した場合には、注射薬の『ラピアクタ』の使用も考慮できます。
 なお、外来での点滴静注や吸入投与に際しては時間がかかる事を考慮し、特に診療所等で飛沫感染予防策・空気感染予防策など他の患者等への、インフルエンザ感染拡散の防止を考慮することが必要、とされています。

☆各抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意とは
1吸入抗インフルエンザウイルス薬(『リレンザ』、『イナビル』)
①『リレンザ』において、気管支喘息患者に使用した際に気管支攣縮の報告がみられています。(海外報告例であり、わが国では報告がありません。)
②気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に対して、これらの吸入薬を使用するときは注意すること。
③単回吸入にて治療が終了するため、確実な吸入が求められます。特に小児については、医療従事者や保護者が吸入を確認すること。
2新規抗インフルエンザウイルス薬(『イナビル』、『ラピアクタ』)
①『イナビル』、『ラピアクタ』などの新規抗インフルエンザウイルス薬は既存の薬剤(『タミフル』・『リレンザ』)より強い抗ウイルス活性を示すと考えられています。
②『ラピアクタ』は強い作用が認められていますが、多数の使用経験がなく、特に米国ではなお臨床治験中であること、また点滴する時間が必要であり、院内感染蔓延の可能性があることなどの課題があるため、内服が不可能か、もしくは確実な投与が求められる場合にのみ使用を考慮すること。

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