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「年のせい」とあきらめないで!高齢者の『特発性正常圧水頭症』~手術で治せる認知症もある~

水頭症と言う病気があります。脳脊髄液の『産生過剰』『循環障害』『吸収障害』のいずれかの原因で頭蓋内圧が上昇し、頭痛や吐き気、最悪生命にかかわることもあります。
 一方、頭蓋内圧は正常で〝特発性〟と名称にあるように原因がわからない『特発性正常圧水頭症』(iNPH)と言う病気があります。
 タイトルにある〝治る認知症〟は認知症症状をもつ、この高齢者の『特発性正常圧水頭症』(iNPH)のことです。パーキンソン病や認知症と思われている患者さんの中に、iNPHでありながら、正確に診断されずにいる人が7~8%ある、と言われています。 70歳以上の高齢者に多いiNPHの症状を患者さん本人や周囲の方が「老化現象」と判断したり、「アルツハイマー型認知症やパーキンソン病が進行した」と診断され、見過ごされるのです。

☆高齢者の『特発性正常圧水頭症』の症状
 三大症状として「歩行障害」「尿失禁」「認知症様症状」が挙げられます。
1、歩行障害  
 最も現れやすいのがこの「歩行障害」です。すり足気味歩行、小刻み歩幅歩行、及びやや足を広げ、がに股のような姿勢での歩行。Uターンをするときなどに歩みが不安定となり転倒します。
2、認知症
 iNPHによる認知症は全体的な意欲・集中力の低下と、物忘れが多くなることが特徴です。
 アルツハイマー型認知症とは異なり、自分がいる場所や時間がわからなくなる見当識障害や徘徊は見られない。このようなタイプの認知症と上記の歩行障害が合併している場合にはさらにiNPHの可能性が高まります。
3、尿失禁
 トイレが非常に近くなったり、我慢できる時間が短くなってトイレに間に合わなくなるのが、主な症状です。

☆診断
①『特発性正常圧水頭症』では、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)などで診断されます。
②疑いが濃厚になった時点で、「タップテスト」が行われます。  
 「タップテスト」とは、髄液を30ml抜いて、症状が良くなるかどうかを診ます。それまで3mも歩けなかったのに髄液を抜いた後に、スイスイ足が進むようになったり、無表情でぼんやりしていたのがニコニコとし出すなど、明らかな改善が見られたら、iNPHと診断されます。

☆治療
 検査でiNPHと診断されると脳に溜まった髄液を外に流し出す治療、シャント手術と呼ばれる手術が行われます。
①脳室腹腔シャント
 広く行われている、脳室から腹腔へ髄液を流す方法です。
②脳室心房シャント
 腹腔に何らかの問題があって排出口が作れない時、心房に髄液を流す方法です。
③腰椎くも膜下腔腹腔シャント
 頭蓋骨に孔をあけることに伴うリスクを考えて腰椎のくも膜下腔と腹腔を結ぶ方法です。
 これらの手術では、術後、歩行障害が早期に改善し、認知症様症状も1年もたつと、かなり改善するそうです。
 iNPHはすぐさま患者さんの生命に関わる病気ではありません。しかしながら、転倒による骨折で「寝たきり」になってしまったり、認知症や尿失禁など、患者さん本人の辛さだけでなく、周囲の方の負担をさらに増大させてしまう可能性があります。もし、上記の症状で患者さん本人や周囲の方が著しく『生活の質』(QOL)を低下させてしまっているならば、まずはかかりつけの先生や脳神経外科・神経内科のある病院を受診すべきです。
 iNPHの治療では、検査から手術に至るまで、保険が適用されます。iNPHは改善する可能性がある病気だけに、「年のせいだから」と自己判断する前に、医師に相談しましょう。

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