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署名と記名の違い -真正に成立したことを明確に-

Q.質問

先日、住宅を借りるために賃貸借契約を締結しました。  住所・氏名が入ったゴム印を押し、捺印しようとしたところ、仲介の不動産業者より「記名捺印ではなく署名捺印でお願いします」と注文がつきました。
 署名と記名とはどのような違いがあるのでしょうか。

A.回答

  まず、署名とは名前を自分でペンなどで自書することです。記名とはあらかじめパソコン等で名前欄に印刷したものとか、住所氏名が入ったゴム印を押捺したもの等を云います。

 仲介の不動産業者が署名捺印を求めたのは、貴方の住所氏名の入ったゴム印ではなく、貴方の住所氏名を自書してほしいということだと考えられます。法律上自書を求められているのは、自筆証書遺言のような重要な行為についでです。また、公正証書を作る時も、その原本に署名押印を求められます。さらに、重要な手形や小切手を振り出すときに署名押印をするのですが、これは手形法、小切手法はいずれも「本法において署名とあるは記名押印を含む」(手形法82条、小切手法67条)とされていますので、現在はほとんどの場合、手形、小切手は記名押印で行われているようです。

 さて、次に契約ですが、外国企業との間の契約は別として、企業間の契約でも、記名押印で行われているのが通例です。重要な契約であれば、資格証明や会社の印鑑証明を添付すれば契約の成立に問題はないでしょう。

 貴方の場合、契約書に署名押印を求められたということですが、昨今借主、貸主共に記名押印で済ませる例が多いようです。本人かどうか分からないというのであれば、印鑑証明書の添付を求めれば済むことです。これで本人ではなく、他人が契約したということはできないでしょう。
 不動産業者がなぜ貴方に自書を求めたのか、その業者はそうした自書が契約を真正に成立させるものである旨の主義をもっているのかも知れません。

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