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法人との賃貸借契約 -経営者の変動と譲渡・転貸の成否-

Q.質問

私は知人のAさんに居宅を貸しています。税務上からAさんに請われて、Aさんが経営している有限会社との賃貸借契約にしています。
この度、Aさんは会社をB会社に譲渡し、B会社は従業員を住まわせることになりました。
私はAさんとの信順関係をもとに貸したのであり、このような場合、賃借権の無断譲渡や無断転貸として拒否できないでしょうか。

A.回答

Aさんの会社が法人の形式を取っている場合、その法人の役員が交代したり、場合によっては会社が合併したりすることもあります。このような場合、形式的には法人は変わらないわけです。しかし、小規模会社の場合、法人というよりも、会社の経営者と親しい関係で貸したとか、個人的な関係で法律関係を作る場合があります。このような場合には、法人の代表者個人に着目して、実質的に契約を解釈すべきではないかということは当然出てくる問題です。

 しかし、この問題について、資本金2000万円の小規模で閉鎖的な有限会社における実質的な経営者の交代があった場合、民法612条の賃借権の譲渡があったか否かについて最高裁判所の判決があります。

 「・・賃借入が法人である場合において、右法人の構成員や機関に変動が生じても、法人格の同一性が失われるものではないから、賃借権の譲渡には当たらないと解すべきである。・・」(最高裁第2小法廷平成8年10月14日判決)としたものがあります。そして、同判決では、賃借人である会社の経営者の交代が賃貸借契約における信頼関係を悪化させるものと評価され、契約解除の事由となり得るかどうかとは、賃借権の譲渡とは別の問題とし、経営者個人の信頼関係を重視する場合は、その個人を相手として賃貸借契約を締結し、あるいは、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに役員や資本構成を変動させたときは契約を解除することができる旨の特約をする等の措置を講ずることができる…として、契約当事者を形式的に判断して、賃借権の譲渡があったか否かを判断しています。

 以上からご質問をみますと、経営者の交代の他に信頼関係を悪化させる事由があれば、賃貸借契約における信頼関係が破壊されたという理由で契約解除が可能になると考えます。

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