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建築協定違反の建物-違反部分の撤去を求めることができるか?-

Q.質問

私の住んでいる住宅地は建築基準法による建築協定によって、平屋建てか二階建ての建物しか建築してはいけないことになっており、住民の皆んながそれを守っています。
ところが最近引っ越ししてきたAさんは、三階建ての建物を建てて住んでいます。
建築協定違反を理由に、Aさんに対して三階部分の撤去を請求できるのでしょうか。

A.回答

まず、建築協定とは何かについて考えてみましょう。建築基準法は公共の福祉の観点から、必要最小限の規制をしています。これに対して、より狭い地域の人達の意志で、その地域の環境をよりよい状態に保つため、地域内の建物について基準を設けて協定を結ぶことが認められており(建築基準法69条以下)、これを建築協定といいます。
 こうした建築協定を成立させる手続きは、①先ず市町村が条例でその区域内の一部について建築協定を結ぶことが出来る旨定めます(建築基準法69条)。②次に、条例で定められた区域内の所有者等が全員の合意で協定を結んで協定書を作成し、代表者が特定行政庁に提出します(同法70条)。市町村長は、協定書の提出があったことを公告し、協定書を関係人に縦覧させ、公聴会で関係人の意見を聴取します(同法71条、72条)。④これら手続きの上で、特定行政庁は、建築協定がその目的となっている土地または建物の利用を不当に制限するものでなく、建物の利用増進や土地の環境改善に良いと認めたときは、これを許可し、公告し、市町村の事務所で一般の縦覧に供します(同法73条)。同様の手続きをとれば協定書の内容の変更も可能です。
 こうして成立した協定は、その公告の日以後に、新たに協定区域内の土地所有者、借地人となった人に対しても効力が及びます(同法75条)。協定違反があった場合、どのような措置をとるかは、協定書に定めるところによります。
 ご質問の、Aさんに対する建築協定違反の3階部分の撤去を請求することは出来ます。通常は協定運営委員会の委員長が、協定違反の三階部分の撤去をして、協定に従うよう請求したりすることになると思います。それでも違反がなおらないようでしたら裁判所に訴求して、判決に基づいて強制執行により三階部分の撤去をすることになります。

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