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賃貸物件のきたない使用 信頼関係の破壊まで至れば解除も

Q.質問

私は所有する建物の1階を中華料理店に、2階を住居として複数の人に貸しています。
 中華料理店から出る油や煙で建物が汚れ、臭いもあり、2階の居住者から苦情が絶えません。
 貸している以上、止むを得ないことなのでしょうか。

A.回答

 まず、建物の借主には、賃借建物の使用にあたって、賃貸借契約の目的に従った用法で、善良な管理者としての注意をもって賃借物を使用収益する義務があります。また、貸主には人の住居として円満な使用収益が出来る状態で引渡すべき義務があります。

 従って、この義務は、テナントである中華料理店としては、同じ建物の2階に居住する他の居住者らに迷惑が掛からないような使用収益をすべき義務であります。他の居住者に迷惑を及ぼすような使用は決して「善良な管理者としての注意義務」に従った使用収益とは云えず、賃貸借契約に違反していると云えます。そして、住民同士の紛争とはいえ、油や煙の飛散による被害、臭いを毎日嗅がされる住民にとっては、生活妨害行為というべきものです。

 このような場合、賃貸人である貴方から中華料理店に対し、油の飛散を防止したり、臭いを出して2階に居住している人達に迷惑を掛けないような措置を講ずるよう申入れ(催告)をする必要があります。数度の催告にも応じないような場合、契約違反ですので、契約者である中華料理店に対し賃貸借契約を解除することができると考えます。

 貴方がこのような催告をしないで放置していると、2階の居住者が、こうした事態は受認限度を超えているとして、他に転居して、貴方に対し損害賠償請求の裁判を起こしてくる可能性があります。こうした損害賠償請求について、貸主には、建物引渡し後も平穏に建物を利用させるべき義務があり、通常の用法により円満に利用できず、平穏な生活を営むことが出来ない不利益や、精神的苦痛は通常人の受忍限度を超えているとして貸主に対する損害賠償を認めた判例があります(大阪地裁平成元年4月13日判決)。

 従って貴方としては、テナントである中華料理店に対し、催告をする努力を怠ってはなりません。それで事態が改善されて、2階の入居者の方々の納得が得られれば、効果はあったと云えます。

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