令和8年度税制改正大綱において、相続税の財産評価上大きな改正事項が盛り込まれました。
これが表題のとおり、「貸付用不動産の評価方法の見直し」です。
1 概要
「被相続人が所有する貸付用不動産の内、相続開始前5年以内に取得または新築したものについては、課税時期(相続開始年月日)における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。(ただし課税上弊害がない限り取得価額の80%により評価することができる。これは路線価評価が公示価格の80%ベースで設定されていることと同様、評価上の安全性確保のためだと思われます。)
今回の税制改正大綱では、相続開始前5年以内の貸付用不動産は路線価評価によらず、原則として取得価額ベースで課税がなされる、との記載のみであり、貸家建付地評価や貸家評価が行えるか否かについての記述がありません。この部分については今後の発表を待つこととなりますが、いずれにしてもかなりの課税強化といえるでしょう。
特に貸付用家屋はこれまで、
固定資産税評価額×0.7=相続税評価額
として評価申告が行われてきました。
新築家屋に対する固定資産税評価額が新築価額の50%で算定されたと仮定すると、
取得価額×0.5×0.7=相続税評価額
となり、実際取得価額の約35%の評価額となるところ、改正法では、
取得価額×0.8=新相続税評価額
となり実にこれまでの2倍以上の評価額で申告することが求められます。
2 不動産に関する評価改正
また、貸付用土地については「小規模宅地の課税の特例」として200㎡まで50%減額の特例がありますが、これについては平成30年改正により「相続開始前3年以内に取得した土地は、原則として例え貸付用であっても小規模宅地の特例を適用できない」と改正されています。
そして、以前にもこのコーナーで取り上げましたが、マンション評価の改正(いわゆるタワマン評価の改正)も含め、近年不動産購入による相続税節税対策に対して、法・通達の改正が立て続けに行われています。
今回ご紹介した「貸付用不動産の評価方法見直し」について、改正時期は令和9年1月1日以降の相続開始、となっていますので、これから相続対策として不動産の購入を検討されている方は注意が必要です。