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禁煙治療が限定的に保険適用されます-対象患者と医療機関に制限を設ける-

喫煙習慣は国際的にニコチン依存症という病気としてとらえられています。平成18年4月の診療報酬改定で「ニコチン依存症管理料」が新設され、禁煙指導が保険適用となりました。さらに、昨年6月1日からニコチネルTTS(ニコチンパッチ)が薬価収載され、禁煙補助薬を使用する禁煙治療の保険診療が可能となりました。なおニコチネルTTSの保険適用は「ニコチン依存症管理料の算定に伴って処方された場合に限る」とされており、保険適用となる対象患者や施設が限られています。

☆ニコチン補充療法による禁煙

 たばこをやめられない人にはニコチン濃度に対する依存がみられ、血液中のニコチン濃度が下がると、どうしようもなくタバコが吸いたくなります。ニコチン補充療法とは、ニコチン濃度が一気に減らないようにニコチンを補充し、徐々にニコチン濃度を下げて、ニコチンの禁断症状を緩和し禁煙に導きます。

☆保険適用となるための条件や制限

①対象となる患者の条件が決められています
(1)ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること。(TDS…10項目の質問で構成されそのポイントで依存症の診断をする。)
(2)ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の者であること。(1日20本で20年喫煙すると指数は400となる。)
(3)直ちに禁煙することを希望している患者であること。
(4)「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意している者であること。

②「ニコチン依存症管理料」を算定できる医療機関の施設基準
(1)禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること。
(2)禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること。
(3)禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること。
(4)禁煙治療を行うための呼気一酸化濃度測定器を備えていること。
(5)保険医療機関の敷地内が禁煙であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
(6)ニコチン依存症管理料を算定した患者のうち、喫煙を止めたものの割合等を、社会保険事務局長に報告していること。

③ニコチン依存症管理料の算定制限他
 ニコチン依存症管理料は、入院中の患者以外の患者に対し、「禁煙治療のための標準手順書(日本循環器学会、日本肺癌学会及び日本癌学会の承認を得たものに限る。)」に沿って、初回の当該管理料を算定した日から起算して12週間にわたり計5回の禁煙治療を行った場合に算定する。
初回(1週日)
  230点(2,300円)
2回目、3回目及び4回目
(2週日、4週日、及び8週日)
  184点(1,840円)
5回目(最終回)(12週日)
  180点(1,800円)

その他の注意
1.入院患者は対象とならない。
2.診療をうける医療機関が施設基準を満たさない場合今まで通り自費です。
3.途中で禁煙に失敗したら再度の治療は初回開始日より1年超えないとダメ。
4.12週を超えて保険治療はできない。
5.ニコチンガムの処方は保険請求できません。
 このように禁煙治療に保険適用の道が開かれたといっても、まだ限定的な適用であり、今回の「ニコチン依存症管理料」の内容や算定に対して様々な問題点を指摘する声も聞かれます。今後の改訂に期待しましょう。

(参考となるホームページ)
全国禁煙支援医療機関リスト
http://kinen-marathon.jp/info/hospital-01/
日本禁煙学会
http://www.nosmoke55.jp
禁煙サポートサイトで「いい禁煙」
http://www.e-kinen.jp

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