私は弟と2人兄弟です。未婚で子供はいません。祖父母と父は幼い頃に、母は数年前に他界しました。母の他界後、私は大学時代の恩師の普通養子になりました。とても大切にしてもらっています。最近になって、私達には異母兄がいることを知りました。もし、私が恩師(養親)よりも先に亡くなってしまった場合、私の財産は会ったこともない異母兄にも相続されるのでしょうか。私の財産は恩師(養親)と弟に承継してほしいと思っています。
相続人の順位は、第一順位が子(子が既に亡くなっており、孫等の直系卑属がいる場合には直系卑属)、第二順位が親(親が既に亡くなっており、祖父母等の直系尊属が存命の場合は直系尊属)、第三順位が兄弟姉妹(既に兄弟姉妹が亡くなっており、甥姪がいる場合には甥姪)となります。配偶者がいれば常に相続人です。
相続人の順位上の親子は、実親子、養親子を問いません。相談者が、未婚で子供のないまま養親よりも先に亡くなったときには養親のみが相続人となり、弟も異母兄も相続人とはなりません。
養親が健在であっても弟にも財産を承継してほしいという相談者の希望を実現するためには、遺言書を作成しておく必要があります。養親と弟にどのように相談者の財産を承継してほしいのかを遺言書に記載しておけば、相談者の希望を実現することができます。なお、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分(最低限保証されている遺産の取得割合)があります。今回のように養親(直系尊属)のみが相続人の場合、遺留分は3分の1です。遺言を作成する際には、後日、養親と弟との間に紛争が生じるのを避けるためにも、養親が承継する財産の割合が3分の1未満にならないようにしておくことをお勧めします。
また、養親が亡くなった後、相談者が未婚で子供がないまま亡くなった場合には、弟と異母兄が同順位で相続人となります。相続割合は父のみを同じくする異母兄は両親を同じくする弟の半分です(異母兄相続分3分の1、弟相続分3分の2)。弟にのみ、相続させたい場合には、やはり、遺言書を作成し、養親が相談者よりも先に亡くなった場合には、弟に全ての財産を相続させることを記載しておけば、異母兄には遺留分はないので、相談者の全ての財産を弟に相続させることができます。
なお、相談者の父の相続の際には、相続人は配偶者である母、異母兄、相談者、弟の4人ですが、相談者はまだ幼く、異母兄も含めた相続手続は知る由もなかったのでしょう。