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知っておいて!遺伝性大腸がん

日本では1年間にがんと診断される人が、100万人近いと推定され、その中で年間5万人弱の人が、遺伝性のがんを発症している、と言われています。
遺伝性のがんには様々な種類があり、最も多いのは、「遺伝性乳がん・卵巣がん」です。
次に多いのが「遺伝性大腸がん」で大腸がん全体の約5%を占めます。

☆遺伝性のがんの発生メカニズム
 遺伝性のがんのほとんどは「がん抑制遺伝子」の異常によって起こることが分かってきました。「がん抑制遺伝子」は、細胞ががんになるのを防ぐブレーキの働きをもち、通常は父方と母方から1つずつ受け継ぎます。ところが、遺伝性のがんに罹る人は、生まれつき1つの遺伝子に変異が起きていることが分っています。但し、1つでも「がん抑制遺伝子」が働いていれば、がんになるのを防げますが、環境要因(紫外線、食べ物、喫煙など)によって、もう1つの遺伝子にも変異が起きてしまうと、「がん抑制遺伝子」が働かず、がんになってしまいます。
 変異した遺伝子を受け継ぐと、がんを発症する確率は高く、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群は約60~85%、家族性大腸腺腫症はほぼ100%、リーチ症候群は男性で54~74%、女性で30~54%の発症率です。

☆遺伝性大腸がんとは
 代表的な遺伝性大腸がんは次の2つです。
①家族性大腸腺腫症
 20~50歳代の若い年齢で発症するのが特徴です。大腸の中に100以上もポリープができ、ポリープを放置すると、ほぼ100%の確率でがんになります。また、がんは発症していなくても、家族性大腸腺腫症の遺伝子を受け継いでいる場合には、10歳代後半の年代から定期的に大腸内視鏡検査を受けておくべきです。ポリープがたくさんでてきて、家族性大腸腺腫症と診断がつけば、その時点で予防的に大腸全摘手術が行われることがありますが、その有効性は確認されていないため、一般的には行われません。
②リンチ症候群
 遺伝性大腸がんの代表的な病気で、患者数は家族性大腸線腫症よりも多く、50歳未満で発症することが多い。一人の患者さんが、同時期あるいは異なる時期に、2個以上の大腸がんを発症することもあります。また、他の臓器に発症することもあります。
 見た目には一般的な大腸がんと変わらないため、リンチ症候群による遺伝性の大腸がんと診断されないこともあります。
 大腸がんが発症した場合、手術ができる場合には、一般的な大腸がんと同じように手術が行われます。手術ができない場合には、坑がん剤治療などが行われます。
 リンチ症候群の遺伝子を受け継いでいる可能性がある人は、20~30歳代から、定期的に大腸内視鏡検査や婦人科検診を受けることが大切です。

☆遺伝性がんの特徴
 どのような場合に遺伝性のがんを疑うべきか知っておくことが重要です。注意すべきポイントは次の3点です。
①家系内に若年でがんになった人がいる。父・母、兄弟・姉妹、祖父・祖母、伯叔父・伯叔母などの近親者に、50歳末満でがんになった人がいる。
②家系内に何回もがんになった人がいる。同じがんを何回も発症したり、様々ながんになった人がいる。
③家系内に同じがんになった人が多くいる。乳がん、大腸がんなど、ある特定のがんになった人が何人もいる。

☆遺伝子のがんが疑われる場合
 近親者の病歴や自分の既往歴から考えて、遺伝性のがんが疑われるなら、まず専門家に相談することが必要です。最近は、各地のがんセンターや大きな総合病院には、「遺伝カウンセリング外来」が設置されており相談することができます。カウンセリングを受け、必要なら「遺伝子検査」を受けておくといいでしょう。これによって遺伝性のがんの原因となる遺伝子を受け継いでいるか判定できます。

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