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インターネット上の口コミと名誉毀損

Q.質問

 私は飲食店を営んでいます。某地図サイトで私の店の口コミを見つけました。最低の評価値が示され、「味が最悪なうえ、虫の死骸が入っていた。店主に報告するとお前が入れたんだろうと威圧的に逆切れされた。」という事実無根のひどいコメントでした。この口コミ以降、新規の来客が激減し、売上も減少しました。何等かの法的措置をとることはできませんか。

A.回答

 書き込みの内容がSNS等の利用規約や法律に違反している場合、SNSや掲示板の管理者にメールやオンラインフォームで削除要請を行なえる場合があります。ただ、サイトの目的や管理者の方針により、削除請求のあったことや削除請求に応じない理由を説明する記事が新たに作成されることもあるので注意が必要です。裁判所に削除を求める仮処分の申し立てを行なう方法もあり、裁判所がこれを認めて仮処分命令を出してくれれば、多くのサイトは訴訟を経ることなく削除に応じているようです。

 記事の削除のみならず投稿者に損害賠償請求等を行なう場合には、投稿者を特定しなければなりません。投稿者を特定するためには、まず、サイト管理者に対するIPアドレス等の開示請求を行ない(主に裁判所に対するIPアドレスの開示仮処分手続を利用します)、次に開示されたIPアドレス等から接続プロバイダに対する投稿者の住所氏名の開示請求を行なう(訴訟手続を利用します)という2段階の請求が必要です。また、接続プロバイダが通信記録(ログ)を保存している期間は一般的には3カ月から6カ月なので、必要に応じ、依頼書、あるいは裁判所のログ保存仮処分によって接続プロバイダにログの保存をさせておかねばなりません。このようにいくつもの手続きを経て調査しても、ネットカフェやホテルからの投稿であれば、投稿に利用された施設までは特定できても、残念ながら投稿者が特定できない場合もあります。

 幸いにして投稿者が特定できた場合には、不法行為に基づく損害賠償請求を行なうことになりますが、判例相場は100万円程度が上限です。売上激減があったとしても投稿と売上激減との因果関係が明確でないため、激減した売上分が損害として認められることは残念ですが困難です。なお、投稿者特定のために要した弁護士費用は上記損害賠償額とは別に「相当と認められる額の範囲で」請求できるとされています。

 投稿内容が犯罪に当たるときには刑事手続の利用も可能です。名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪なので、犯人を知った日(接続プロバイダから投稿者の住所氏名を知らせる通知が届いた日)から6カ月以内という告訴期間内に告訴をすることが必要です。

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