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個人再生(民事再生)手続と任意整理【後編】

<質問>
私は、個人で飲食店を経営しておりますが、営業不振のため、個人再生手続を利用して事業を継続することができないかと考
えています。また、他に任意整理という方法もあると聞きました。個人再生手続と任意整理について教えてください。

<回答>
前回の個人再生に続き、今回は任意整理のご説明をします。
任意整理は、裁判所を利用せず債権者に弁済条件の変更や債権カットを求める手続です。私的整
理と言う場合もありますが、私的整理は法人債務者を対象とした一定の手続準則の下で進める準則型私的整理を言うことが多いので、債権者と債務者との協議のみで行なう純粋な私的整理という意味で任意整理という言葉を今回は用いています。
任意整理の場合、必ずしも全ての債権者を対象とする必要はありません。例えば、今後の事業継続に必要不可欠な取引先には任意整理を告げることなく、従前どおりの取引と支払いを継続し、銀行等の金融機関だけを対象として、返済条件の変更や債権のカットを求めることが可能です。
ただ、当初の約定と異なる支払条件や債権額のカットをお願いするのですから、対象債権者の同意を得るためには、適時適切な説明と合理的な返済条件の提示が必要です。一般的には、現在の債務額、仮に破産した場合の配当見込額、取引先等一部の債権者への従前どおりの支払いを維持して事業を継続するからこそ任意整理対象債権者への弁済(破産の配当見込額よりも多額の弁済)が可能である事情の説明は必須です。そのうえで、合理的根拠に基づく弁済条件の変更や債権カットをお願いすることになります。
対象債権者との交渉により、全ての対象債権者の同意を得ることができれば、各債権者と合意書を交わし、合意に従った弁済が完了すれば任意整理は完結します。
このように、任意整理は対象債権者を限定できるので風評等による事業価値棄損リスクを少なくできる、対象債権者ごとに柔軟に弁済方法等の協議ができる、というメリットがあります。他方、対象債権者の一部の同意が得られなければ手続が頓挫する、交渉途中で債権者の担保権実行がされてしまうと阻止することが困難、各対象債権者との個別の交渉となるので手続の透明性に欠け対象債権者の不信感を招きやすい、というデメリットがあります。
個人再生、任意整理、双方のメリットとデメリットを勘案し、ご相談者の状況に適した方を選択してください。

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