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相続人が海外に居住している場合の相続手続について

近年、転勤や留学などにより海外に居住されている方は少なくありません。
今回は、相続が発生した時に海外に居住している相続人がいる場合の注意事項や必要書類についてお話しします。

まず相続が発生した場合、遺言書の有無を確認します。遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割について話し合いを行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書は、金融機関の口座解約や不動産の名義変更、更には相続税の申告にも必ず必要となる重要な書類です。
遺産分割協議書は被相続人(亡くなられた方)の財産すべてをどのように分割するか記載する書類で、通常は最後に相続人全員が署名(原則自書)捺印(実印)して完成します。
実印を押印しますので、分割協議の日以降に発行された印鑑証明書を添付しなければなりません。
ところが、住民票を抹消し海外に居住されている場合、印鑑証明書を発行してもらうことはできません。このような場合にどうするか。
多くの場合は「署名証明書(サイン証明)」を取得していただくことで印鑑証明書の代わりとします。
この署名証明書(サイン証明)には二種類の様式があります。
一つは【単独型】と呼ばれるもので、日本の印鑑証明書のように独立した1枚の用紙で発行され、複数の手続きに使いまわして利用することが可能です。
もう一つは【貼付型】と呼ばれ、まず領事の面前で遺産分割協議書のような署名捺印が必要な書類に署名を行います。領事は本人がサインしたことの証明書を発行し、当該書類に貼付して契印(割印)を行います。
単独型は汎用性が高く、また事前に証明書を取得しておくことが可能ですが、貼付型に比べて信頼性が低いといえます。遺産分割協議書など法務局へ提出する書類の場合、貼付型の方が良いと思われます。
貼付型の場合、必要な書類ごとにサイン証明を必要としますので、予め書類を用意し持参すること、取得手数料が割高になるというデメリットもあります。

上記の署名証明書は在外公館にて取得するものですが、海外居住者が日本に一時帰国した際、国内の公証役場で署名証明書を取得することもできます。その際は前もって公証役場に問い合わせを行い、手数料額や日程の確認をされた方が良いでしょう。
署名証明と似たような書類に「在留証明」というものがあります。
こちらは住民票と同じように、海外での現住所を領事が証明するもので、不動産の相続登記を海外居住相続人が行う際には必ず必要となります。

いずれにしても専門性の高い書類ですので、まず税理士や行政書士にご相談いただくことをお勧めします。

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