親族から「事業資金が必要」と頼まれ、契約書や返済期限、利息の取り決めをしないまま、まとまった金額を貸し付けました。何度か返済を求めていますが、「今は余裕がない」「もう少し待ってほしい」と言われ、一向に返してもらえません。どうすれば良いでしょうか。
相談者から親族へのお金の交付は完了しており、親族も返済義務のあることは認めていますので、返済時期と利息の合意はないものの、金銭消費貸借契約は成立しています。
返済期限の合意がない貸金は、貸主から「相当の期間」を定めて「返還の催告」をすれば、相当の期間経過後に返済期限が到来します(民法591条1項)。この「相当な期間」が何日間なのか法文上明記されていませんが取引上一般に必要とされる期間であり、個々の契約についての特殊事情がなければ1週間程度とされる場合が多いようです。
また、「今すぐ返して」等、「相当な期間」を定めずに返還の催告をした場合でも、相当な期間経過後に返済期限は到来します。
但し、貸主の催告に対して借主がもう少し待って欲しいと要請し、貸主が明確な期限を定めることなく、この要請に応じた場合には、再び返済期限の定めのない消費貸借に戻ってしまう可能性もあるのでご注意ください。
利息を払う合意が無かった場合には、返済期限までは無利息になりますが、「相当の期間を定めた返還催告」によって到来した期限後は、返還完了まで法定利率(現在は年3%)の遅延損害金の請求が可能です。
また、利息を払う合意はあるものの利率を定めていなかった場合には、返済期限前も法定利率の利息請求が可能です。
法定利率は令和2年の民法改正により同年4月1日から年3%とされ、3年毎に見直しがされています。令和5年4月、令和8年4月には利率の変更はありませんでしたが、令和11年4月1日も同様かは不明です。
相談者におかれましては、返還期限を明確にするためにも、改めて相当の期間を定めた返還催告を、書面で、ご親族に対して行なうことをお勧めします。そして、相当期間経過後も返済が無い場合には、返済方法について具体的な協議を行ない、合意内容を合意書として書面化してください。ご本人同士の協議が困難であれば、裁判所での調停を利用されるのも一方法です。
なお、返済期限の定めのない消費貸借は、貸付から相当期間(催告の相当期間とは異なり、貸金の使途等からみた相当期間であり、数カ月から1年程度とされることが多いです)経過したときから、消滅時効期間が進行し始めますので注意が必要です。
親族間では甘えや遠慮が生じがちですが、後日の紛争回避のためにも、返済期限、利息の有無、返済方法を当初から書面化しておくのが得策です。