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民法(債権法)の改正 債権譲渡に関する見直し

Q.質問

 債権者と債務者間で第三者に債権を譲渡することを禁止されている約定のある貸金債権がある場合、その債権を譲渡した場合の効力に現行法と改正法では違いがあるのでしょうか。

A.回答

   現行法では、譲渡制限特約の付された債権の譲渡は原則として無効であり、譲渡制限特約を重大な過失なく知らなかった譲受人に対してのみ、譲渡が有効になるとされてきました。これは弁済の相手方を固定するという債務者保護を目的としています。

 他方、経済界において、債権者が当該債権を譲渡し、あるいは譲渡担保を設定するなどして資金調達をはかる必要性があるにも関わらず、譲渡制限特約のためにこれができない、という問題意識が大きくなってきていました。
 そこで、債務者の保護と、債権の流通性を高めるという2つの要請を調整するべく、今回の改正がなされました。

 まず、改正法は、譲渡制限特約に違反した債権譲渡も有効であることを明記しました。そのうえで、譲受人が譲渡制限のあることを知っていた場合(悪意の場合)、あるいは重大な過失により知らなかった場合には、債務者は譲受人への弁済を拒絶することができ、譲渡人への弁済等の債務消滅事由を譲受人に対抗できることとし、債務者の保護を図りました。

 そして、債務者が、もはや債権者ではないとの理由で譲渡人への履行を拒否し、譲渡制限特約につき悪意重過失ある、との理由で譲受人への履行も拒否するという「逃げ得」の状態となるのを避けるため、譲受人に、任意に債務を履行しない債務者に対して、相当の期間を定めて譲渡人への履行を催告する権限を付与しました。この相当期間を経ても、債務者が譲渡人に対する履行を行わなかった場合には、債務者は譲受人への履行拒絶権を失い、譲渡人に対する債務消滅原因を対抗することもできなくなることとしたのです。

 このように、改正法は、譲受人の善意悪意に関わらず譲渡制限特約付債権の譲渡を有効としていますから、一旦債権譲渡がなされて対抗要件が具備されれば、その後、債権の二重譲渡や譲渡人の債権者からの債権差押えがなされても、先の譲受人が優先することになります。現行法のように、第一譲受人が悪意であれば、善意の第二譲受人が債権を有効に取得、悪意の譲受人への債権譲渡後の譲渡人の債権者による差押は有効、ということは生じなくなります。

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