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借地上の建物が譲渡担保に -担保権者の借地に対する権限は-

Q.質問

永年土地をAさんに賃貸しておりました。Aさんは家を建てて住んでおりましたが、1年ほど前から地代を払わず、数回催告しても支払いがありませんので、賃貸借契約を解除しました。建物の登記簿を取り寄せたところ、建物には譲渡担保が設定されて、所有者がBという人に変わっていました。
私はBさんに土地を明渡すよう申入れましたが、Bさんは担保権を有しているだけだと云って応じません。
どちらに請求したら良いのでしょうか。

A.回答

  譲渡担保とは担保に供すべき所有権等の権利自体を設定者(A)が与信者(融資者:この場合B)に移転し、弁済後はその権利が設定者に返還される、という担保権と言われています。裁判例では、担保権者(B)は債務者(この場合A)が被担保債務の履行を遅滞したときに目的物を処分する権能を取得するとされています。また、譲渡担保権の性質に反しない範囲で、対外的に権利移転的効力を認めていると言われています。

 裁判例では、「譲渡担保設定者(A)が敷地所有者に対し、敷地の賃借権を有するときは、譲渡担保権の設定により当然に右賃借権が譲渡担保権者に譲渡され、あるいは敷地に対する転借権を取得するものではなく、譲渡担保権の実行に至るまでは、譲渡担保権者は敷地所有者に対し、自己の占有権限として譲渡担保権設定者の占有権限を援用し得るに過ぎない…従って、譲渡担保権設定者が土地に対する占有権限を喪失した以上、土地所有者に対し、建物収去・土地明渡しを拒むことはできない…」(大阪高等裁判所平成7年5月25日判決)としたものがあります。

 貴方の場合、借地人Aさんに対し、賃貸借契約を解除しますと、Aさんは土地の占有権限を失います。Aさんの占有権限を援用できるに過ぎなかったBさんは占有権限を失います。そうすると、対外的にはBさんが建物の所有権者ですから、Bさんは貴方に対して建物を収去して土地の明渡しを拒むことが出来ないということになります。

 貴方は、Bさんが明渡しを拒むのであれば、Bさんに対し建物収去・土地明け渡しの裁判を起こしてみては如何でしょうか。

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