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保証契約と錯誤 他にも保証人がいると思っていた…

Q.質問

私は友人Aから、Aが銀行から融資を受ける際の連帯保証人になってほしいと頼まれています。Aには資産家の兄がおり、この兄にも保証人になって貰うので、君には迷惑は掛けないと云います。このような場合、保証人になっても大丈夫でしょうか。

A.回答

 まず、融資に対する保証は融資する銀行と貴方との間の契約です。そして、連帯保証人は、債務者であるAさんが債務を支払えなくなって他にAさんの資力がない場合に初めて貴方に負担がかかるというものではなく、借主Aと同じ立場で銀行に対し責任を負います。 従って、Aさんが他に資産を持っているとしても、Aさんが支払を止めると直ちに貴方に請求がくるというものです。

 融資に対する連帯保証は以上のとおりですが、Aさんの資産家の兄が同じく連帯保証人になってくれるので、Aさんが貴方に「決して迷惑を掛けない」と言ったとしても、お兄さんと銀行との間の保証契約であり、それは、銀行が保証を確実なものとするためのもので、貴方の保証に影響を及ぼすものではありません。仮に、貴方がそれを信じて、Aさんのために連帯保証をした。しかし、Aさんの兄は現実にはA さんの保証人にはならなかったというような場合、貴方は貴方の保証契約は錯誤で無効だと主張できるでしょうか。

 貴方がAさんの銀行からの融資について、貴方が連帯保証をしたのは、Aさんの兄が連帯保証人になると信じたからだ。Aさんの兄が保証をしないのであれば貴方の保証契約は契約の要素に錯誤があって無効と言えるでしょうか。もし保証契約が無効であれば、貴方は責任を負うことはありません。しかし、要素の錯誤があるというためには、
①その錯誤が意思表示の内容に関するものであること。
②錯誤が意思表示の重要な部分に関するものであること。
が要求されます。こうした要件が揃わないと、判例や通説によりますと、意思表示の内容に関するものではなく、連帯保証契約を締結するにいたった動機の錯誤に過ぎないことになり、貴方は銀行のAさんに対する融資の連帯保証人となり、Aさんが不払いすると連帯保証人としての責任を問われることになります。

 以上のとおりですからAさんのために銀行との間で連帯保証契約をすると、貴方に保証責任が生じると考えますから、これらを十分考慮して対処してください。

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